Machinakaの日記

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聖書ネタが分からないとただのコメディ映画? 映画を楽しむためのポイントを解説!「神様メール」批評

こんばんは! machinakaです。

 

今回批評するのはこちらの映画

 

 

「神様メール」

 

 

 

 

はい、ベルギー映画はブログで取り上げるのはもちろん、見るのも初めてかな、、、。とにかく全てが未知の映画。俳優さんも監督も全く知らない状態で鑑賞してまいりました!!

 

 

あらすじ

 

「トト・ザ・ヒーロー」「八日目」などで知られるベルギーの異才ジャコ・バン・ドルマル監督が、前作「ミスター・ノーバディ」以来6年ぶりに手がけた監督第4作で、ベルギー・ブリュッセルの街に暮らす神様と、その娘が引き起こす騒動を描いたファンタジックコメディ。ブリュッセルの街に家族と一緒に暮らしている神様は、自分の部屋のパソコンで世界を管理し、面白半分で事故や災害を引き起こしている。そんな父に憤慨した10歳の娘エアは、それまで一歩も出たことがなかった街に出ることを決意。しかし、家出の前に立ち入りを禁じられている父の部屋に忍び込んでパソコンを触った彼女は、間違えて世界中の人々に死期を知らせるメールを送信してしまう。エアは人間たちを救済しようと街に繰り出し、そんな娘を追って神様も街に出るが……。

 


映画 『神様メール』 予告編

 

 キャストはほとんど知らない人ばかりだったんですが、一人だけ知ってる人がいました。「エール!」で聴覚障害を演じた父親、フランソワ・ダミアンさんですね。

一度見たら忘れられない顔です。

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www.machinaka-movie-review.com

 

 

 

 

映画の感想

 

単なるコメディと思ったら、結構深い「聖書」をめぐる話でした。。

 

それが分かってるのと分からないのとでは、大違いだと思いました。

 

ただ、ギャグセンスは非常に高い監督みたいで、何回も爆笑してしまいました。観に行ったのがTOHOシャンテだったので、 映画のリテラシーが非常に高い方が多かったのも良かったですね。

 

コメディは、もうなんでもありでしたね。キリスト教を小馬鹿にしたブラックな面も、動物ネタも、笑いになるならなんでもありな映画でしたww

 

特に下ネタがきつかったですねw 何回裸見たんだろうww

 

私の好きなタイプのドイツ女性がヌードになってたんで、超テンション上がりました!! ってすいません笑

 

やっぱり、フランス語圏のベルギー、しかもフランスに近いブリュッセルでの撮影なんで、フランス映画のエロエロなテイストを引き継いでるんでしょうかね。。

 

まぁ好物ですけどw

 

面白かったです!!

 

 

 

 

 

 

 

聖書ネタが分からないと、ただのコメディ映画になるぞ!!

 

あらすじを読んでも、よく分からないでしょう。

神様メールという題名だけで映画に臨むと、何故キリストが出てくるのか、何故新しい聖書を書くのか、、そもそも父親って何の神様なのか、全く分からないと思います。

 

 

これは日本人には非常に馴染みがないキリスト教、ユダヤ教の話を理解してないといけないので、解説していきます!

 

ハッキリ言って意味を知らないと単なるコメディ映画になりますから!!まぁそれでといい人は構わないんですけど、エンディングの意味とか全く分からないまま終わっちゃうんで、この機会に是非理解してってください!

 

この映画、タイトルからも分かる通り、日本に配給するためにかなり内容を省略して、簡単な映画にしようとしてます。ただ、本編は何も変わらないので、「神様メール」だけじゃあまりにも説明不足だと思います。

 

まず、ベルギー版のタイトルは「Le tout nouveau testament」 です。

これはフランス語ですね。分かりづらいので、英語タイトルを見てみましょう。

 

映画は「The Brand New Testament」です。テスタメントは、「聖書」という意味です。「Brand New」は「真新しい」という意味ですね。

繋げると、「真新しい聖書」という意味になります。

つまりですね、全く新しい聖書、という意味なんですね。そもそも大前提の知識として、聖書にはユダヤ教の教典である「旧約聖書」と、キリスト教の教典である「新約聖書」の二つがあるんですが、それらの聖書とは関係ない全く新しい聖書をこの映画で作ってやるぜ! という意味で、それが目的となってる映画なんです。神様からメールが来るってのが主題じゃないんですよ、もちろん笑

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ、「神様メール」と全然意味違うじゃん!! 

 

そうなんです。配給が日本人でも分かりやすいように、単に「神様のメールで世界中が大騒ぎ!」という風に宣伝してるんですよね。

まぁ映画のタイトルに「新約聖書」って入ってると見に行く人も少ないんで、しょうがないと思うんですが、、、。

でもさ、日本人の理解度が低いから簡単なタイトルにしてるんで、日本人は勉強不足だろう、って配給の人から見なされてるんですよね。。。なんか悔しくないですか!? 単に神様メールという意味だけで理解してたら、配給の思うツボだぞ!!!

 

 

 

 

 

 

まずはあらすじをちゃんと理解することから始めましょう。

 

 

はい、マンションに住んでる家族。父は神様、息子はイエス・キリスト、娘と母。神様の父はパソコンで、地球を作り、人類を作り、この世の中を作る仕事をしている。父は自分が創造主で権力者だと思っているため、自分の言うことを聞かない奴は徹底的に攻撃する。悪いことをしてないのに母親と娘をいじめる。非常に横暴でワガママな父親なんです。

そんな父親に息子は嫌気がさして家出します。

娘は父の暴走を止めるために、父の仕事場を占拠。パソコンを操って、出来心で人の寿命を人間にメールしてしまうんです。寿命を知ってしまった人間は、仕事を辞めたり命知らずのスタントに挑戦したり、風俗通いしたり、まぁ色んな欲望を剥き出しにするわけですな。

娘は兄のイエスキリストと協力して、新たに6人の使徒を集めて新たな聖書を作ろうと奔走する。

 

はい。あらすじを見ただけでも意味が分からない部分がいっぱいありますね。。

 

まずそもそも、、、、

 

 

 

父は何の神様なの!?

 

息子がイエス・キリストだということは、プロットからも分かります。しかし、父親が何の神様なのかは映画を見るだけでは絶対に分かりません。しかし、タイトルに「聖書」が入っている以上、聖書に関係する神様なのは間違いありません。

 

先ほどお伝えしましたね。聖書には二つあって、ユダヤ教の旧約聖書キリスト教の新約聖書があると。

もうお分かりですね。息子がイエス・キリストで新約聖書派ということは、父親はそれより昔に作られたユダヤ教の旧約聖書派なんですね。

ちなみに、ユダヤ教の神様は唯一神ですが、ユダヤ教ではヤーハウェイ、イスラム教ではアッラーと呼ばれたり、宗派によって神様が違うんですね。つまり、旧約聖書で「神様」といっても色んな呼ばれ方があるので、映画でも単に「神様」とぼかした表現をしてるんですね。

 

あと、ユダヤ教でもイスラム教でも偶像崇拝が禁止なので、「旧約聖書の神」と明記すると非常にマズイ。国際問題にも宗教問題にもなりかねないんですね。

ま、一番の理由は父親があまりにも自己中心的で横暴なので、これを「旧約聖書」の神と明記したら、各方面から怒られるに決まってるんですね笑 ただ、元々旧約聖書の神様は自己中心的な性格だったみたいで、「生贄を捧げよ!」だとか「改宗しないなら聖戦をしても良い」ってことを平気で言ってたらしいので、映画の中では結構実際に近いところをトレースしてるんですね。

 

絶対に映画の中じゃ言えませんがwww まぁこのブログならいいでしょ笑

 

 

 

 

結局何がテーマなの!?

 

映画の中では父親も息子もあてになりません。つまり、新約聖書も旧約聖書もダメだよってことを暗喩してるんですね。現代世界で多くの人が信仰している二大宗教を完全否定してるわけですw 特に旧約聖書に対する捉え方がすっごく悪いですね。ハリウッドのユダヤ教映画人はどう思うんだろう笑

 

で、白羽の矢が立ったのは「女の子」の娘と、「女性」の母なわけです。

 

 

 

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映画の中ではキリスト教の神も、旧約聖書の神も、すべて男性だったわけですね。だけどこの映画で活躍する神様は、すべて女性なんです。

 

 

つまりですね、今までの神様=男性という定説を覆して、女性が神様でもいいんじゃない?ってことを突きつけているわけですね。

 

 

これは新しい解釈ですねーー。カトリックのシルベスタースタローンとかメルギブソンが見たら、怒り狂って戦闘機でブリュッセルに突っ込みそうですけどww

 

これをよくキリスト教圏のヨーロッパで流せたな、と思いますよ、本当に笑

アメリカだとどんな反応されるんだろww

 

 

 

参考になったのはこちらのラジオ音源です。是非聞いてみてください。

 

以上です!!

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