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映画「イット・フォローズ」ネタバレあり感想解説と評価 隠された監督のメッセージとは!? 何故セックスで感染するのか!?

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この記事では、「イット・フォローズ」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

前回記事にあげた「イットフォローズ」の記事ですが、多くの方にご好評を頂いているようで、大変感謝しております。

 

前回の記事が「ネタバレなし」編でしたので、今回は感謝の意味も込めてネタバレありで批評したいと思います。 批評というか、よく分からなかった点や監督の伝えたかったメッセージを書いていきたいと思います。

作品全体の批評自体は前回の記事に書いていますので、こちらをどうぞ

 

 

www.machinaka-movie-review.com

 

 

また、重複しますがこれはネタバレ全開で考察していきます。

まだイットフォローズを観てない人は、ブラウザの戻るボタンを押していただくか、他の記事を観て下さい!

 

 

「不幸の手紙」形式なのに、、、

 

 

映画を御覧頂いた方は、これが単なるホラー映画ではないと感じるだろう。

 

不幸の手紙形式で「それ」が感染する。

 

不幸の手紙形式のホラー映画は、技術の進歩とともに、恐怖の媒体に変遷がみられている。

 

1990年後半:「リング」シリーズ

 

不幸の手紙は「呪いのビデオ」として取って代わった。

 

すいません、予告は見つかりませんでした。

 

 

そして2000年前半:「着信アリ」シリーズ

 

ビデオから、携帯の着信になった。当時はまだガラケー

 

https://pic.prepics-cdn.com/pib1309049074/7395622.jpeg

 

 

そして最新作の「貞子3D」では、「見たら死ぬ」動画投稿サイトに乗り移った

 

https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-a1-ac/fumionatsukokomura/folder/828024/25/31148325/img_1?1349527901

 

www.youtube.com

 

不幸の手紙形式の映画は、現代の通信技術の進化に伴って変化していっているのが分かりますよね。

 

みんなが持っているビデオ・携帯というありふれた媒体の中に、非日常を混ぜることにより、日常に隠れた恐怖を映し出しているんです。

 

余談ですけど、小学生のときに「リング」を観たせいで、ビデオテープ恐怖症になってしまいました。

ビデオデッキがある部屋には入れなくなってしまいましたね。それくらい貞子にはトラウマを植え付けられました。

 

 

 

 

そして2016年のイットフォローズ(アメリカでは2014年)! 

 

なぜyoutubeでもVineでもなく、「性行為」で感染する! としたのでしょうか。

 

 

映画のテーマをめぐって、観客・映画評論家・監督が熱い議論を交わした。

 

町山さんのラジオで語っていましたが、この映画は最初はアメリカでたった4館だけで公開しました。

その後、若者の間で流行したのですが、流行した理由が「テーマが分からない」という点。

 

何度観ても、この映画が何を伝えたかったのかが分からない。なので何度もリピートして観る内に、観客動員が増加したというわけです。

 

日本では流行るのでしょうかね。

 

さて、この映画をめぐって観客のみならず、映画監督のクエンティン・タランティーノが絶賛したことで有名になっています。

 

「この映画はとても素晴らしい! しかし、いくつか欠点がある」

 

と映画を褒めつつも欠点を指摘。しかしその指摘がミスリードであることが、監督ロバートから伝えられたのです。

 

ほぼ新人の映画監督が鬼才クエンティン・タランティーノに映画の間違いを指摘するなんて、、、非常に度胸の据わった監督です、よほど自分の世界を壊されたくなかったのでしょう。

 

この映画は、多くの観客・映画評論家の中で、主にセックスについて議論の焦点があがりました。

 

セックスで感染させることができる→感染したものは死を迎える

 

「これは性病のメタファーなんだ。やみくもにセックスをしてしまうと、性病に感染してしまうから気をつけなさいっていう映画でしょ?」

 

その結論に、監督はハッキリ「No.」と宣言しました。

 

これにタランティーノ乗っかって来たので、監督は映画の真相を離さざるを得なくなりました。なんたって公開当初とは違い、ちょっとした社会現象になっているのですから。

 

 

映画に秘められたメッセージを徹底解説!

 

ではこの映画のテーマとは一体何だったのか。 何を伝えたくてこの映画を作ったのか。

 

インタビューが日本語記事になっているものを発見しましたが、何を伝えたいのかは書いてありませんでした。

 

もし興味があればごらんください。

 

eiga.com

 

 

そして、監督本人に直接インタビューした英語記事があったので、それを貼ります。

 

 

 

defamer.gawker.com

 

その記事の中からこのような文章がありました。一生懸命翻訳してみます。

 

 

What is the driving force for you?

(この映画に関して)あなたを突き動かしたのは何ですか?

I'm hesitant to say.

実はあまり言いたくないんだ。

I don't want to be like, "This is what the film means."

 この映画にはどういう意味があるかなんてね。

The only thing I am comfortable saying about it is that, on some level, one of the things important to me is the discussion of mortality.

 

一つ言うならば、どんな仕事でも、私にとって重要なことの一つは、「死ぬという運命について議論することだ」

That's probably another fairly obvious one in that we're all mortal, we're all here for a limited amount of time, it's something that we all are aware of.

我々は限られた時間を生きて、死の運命が待ち構えていることは明らかだ。それをみんなに気づいてほしかったんだ。

In the film, it's not necessarily sex that opens this character up to danger.

この映画では、必ずしもセックスがキャラクターを危険に導かせる必要はないんだ。

 

Sex is just one aspect of living.

セックスは単に「生きている」ことの一側面に過ぎない。

So it's literally just life itself, the act of living, is what creates a necessity for us to die.

それは文字通り「生きている」という意味なんだ。生きるという演技は、同時に死ぬことも必要になる。

 

It's literally about the moment at which you are becoming aware of your mortality and some of that has to do with growing up, and sex is part of that.

それは文字通り死の運命に気づくということ。それは人間の成長とともに気づくようになる。セックスはそれの(この世に生まれ、そして死の運命に気づくことの)一部にすぎない。

The characters open themselves up to this danger through sex, but I like to think that sex and love are ways we can push death away, at least temporarily.

登場するキャラクター達はセックスをすることにより、死に近づいていく。しかし私は、セックスと愛は「死の運命」を静める方法だと考えてるんだ。例えそれが一時的であってもね。

That's sort of what happens in the film in a very literal way, but in the grander scheme of things, it's one of the ways in which we can really be alive and not be so focused on what happens to us.

この映画で何が起こっているかを、言葉本来の意味通り考えてみると、それはとても大きな構造になっているんだ。我々が実際に生きていて、そして我々に何が起きているかという点から焦点をずらすことにあるんだ。

In that moment, we can be truly alive.

その瞬間、我々は本当の意味で生きているんだ。

 

 

 

 

いやーーーー、日本語に翻訳しても難しいですねーーー。哲学的といってもいいのでしょうか。

 

翻訳が拙いことは先に謝っておきますね。

 

要約すると、監督はどんな仕事をするときも「死の運命」について考えて、議論しているのです。

 

人間が生きている以上は、どんな人でも死の運命が待ち構えている。そしていつか必ず、自分が死ぬことについて考える時が来るんだ。と言っています。

 

これがイットフォローズのメインテーマなんです!! 

なんかホラー映画じゃないみたいですよね。

 

そして、みんなが議論したセックスを使った感染方法についてですが、別にセックスじゃなくても良かったと言っていますね。セックスは生きていることの一側面に過ぎない、と。

そしてセックスを通して何を伝えたかったのかというと、セックスや愛は、自分が死の運命にあるという気付きを、一時的に落ち着かせる効果があるんだと言っています。

 

つまり、映画の中で「It」というのは「自分の死の運命」を可視化したものなんです。幽霊でもなんでもないんですね。

 

「It」が常に追ってくるのは、「いつか必ず自分には死期が訪れる」ということのメタファーだったのです。

 

それから逃げるために、セックスをしたり、誰かを好きになったりする。その瞬間だけは、自分が死ぬということを忘れさせてくれるんだ。ということなんです!!!!

 

 

主人公のジェイは、映画では何人の男ともセックスしますね。

観客のほとんどは単なるビッチにしか思えないでしょう。しかし、このメタファーを知っていると、彼女はとにかく「死の恐怖」に怯えていたんでしょう。そして忘れるために、ひたすらセックスをして、人を愛したのでしょう。

 

これを裏付けるものとして、この映画ではセックス中に「It」は一切襲ってこないですよね!?

 

普通ならセックス中に襲っちゃえばいいのに。だって身動き取れないですからね!!

 

でも絶対「It」は来ないし画面にも映らないんです。

 

簡単にいえば、セックス中は無敵状態になってるんです笑

 

 

町山さん情報ですが、 実はこのテーマをモロに説明している箇所が劇中にあります。

 

ジェイが大学の授業で教室にいる時、先生がドストエフスキーの「白痴」の一節を読み上げていますね。

 

https://i.ytimg.com/vi/rfxzFCDGzj8/hqdefault.jpg

 

 

確かこんな一節だったはずです。

 

ですから、死んでしまうまで、ただその傷のためにだけ苦しむわけです。でも、いちばん強い痛みというものは、きっと、傷なんかのなかにあるのではなくて、あと一時間たったら、十分たったら、いや、三十秒たったら、いまにも魂が肉体から脱けだして、もう二度と人間ではなくなるんだということを、確実に知る気持ちのなかにあるんですよ。肝心なことはこの『確実に』という点ですよ。

 

全文までは言ってなかったと思うのですが、これって監督の伝えたいことと類似していませんか? 確実に死は迫ってくるということを説明しているのです。 この「白痴」はドストエフスキー自身が死刑直前に考えたことらしく、自身の体験から「死の運命」について書かれているのです。

 

 

ここまで勉強すれば、エンディングの意味も分かりますよね?

 

ジェイは幼なじみとセックスし、恋仲になる。

エンディングでは二人が手を繋ぎながらも、「It」に追われるようなシーンで終わってますよね。

 

手をつなぐという行為自体、愛の象徴にしているんだと思います。愛があれば、死の恐怖から逃れられるひとときが作れるんだ、と。

 

 

 

この監督は、ホラーというジャンルを通して自分の伝えたいことを表現したかったんですね。それは彼がたまたまホラー映画が好きで、たまたま人に追いかけられる悪夢を観たからなんです。

 

 

 

でもそれをホラー映画で表現するって、本当にぶっ飛んでる人ですね笑

 

彼はハリウッドの製作会社に引きぬかれ、将来は大作映画を監督することになるそうです。次回作に期待ですね!!

 

長くなって申し訳ありません。 少しでもイット・フォローズの魅力が伝われば幸いです。

 

長文・乱文失礼しました!

 

 

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