Machinakaの日記

新作映画の情報・批評を、裏ネタ満載で包み隠さずお届け




「レッドタートル」批評・解説 ジブリの最新作はエゴイズムでエコイズムな超難解アート映画! 

こんばんは! Machinakaです。

 

 

今回批評する映画はこちら

 

 

「レッドタートル」

 

 

 

 

 

 

はい、ジブリ最新作!!!!

 

と名前ばかり先行してますけども、今回はあくまでもジブリはプロデュース・配給に徹底してます。何故なら、宮﨑駿が引退したことからも分かる通り、アニメ制作班は解体してるんです。

 

 

だから、いくらテレビCMとか雑誌で「ジブリ最新作!!」と言われても宮﨑駿が作ってるわけじゃないからね、間違えないでね!!!笑

 

 

 

事前に言っておきますが、「ジブリ映画は楽しい!!」「可愛いキャラがいる!!」

と勘違いして家族連れで観たら痛い目に合う映画ですwww

 

実はこの映画、、、

 

 

 

超難解なアート映画です!!!

 

 

だから、子どもと観に行ったら難解すぎて理解不能です。

私が観に行ったときも、後ろに座っていた家族連れがいたんですね。で、途中で子どもが「ねむーい!」「ねむいよー!」と冒頭で言っていたのが印象的でした笑

 

 

もう一度言いますよ、「楽しいジブリ最新作だぁ♪」と思って家族連れで観ると痛い目に逢いますから、絶対にお子様連れで観てはいけません!!!!!

 

 

 

 

http://www.asahicom.jp/showbiz/enews/images/RTR201007270024.jpg

 

 

もうジブリは新しい時代に入ったんだよ!!! 子供と見る映画の定番じゃねぇんだよ!!!

 

 

ジブリが作ったアート映画を喰らえ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.あらすじ

 

 

2000年に発表した短編「岸辺のふたり」でアカデミー短編アニメーション賞を受賞したオランダのマイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督が、8年の歳月をかけて完成させた初長編作品で、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で特別賞を受賞。スタジオジブリが、同社としては初となる海外作家の映画製作に参加し、高畑勲監督がアーティステックプロデューサーとして、シナリオや絵コンテ作りなどに関わっている。嵐で荒れ狂う海に放り出された男が、九死に一生を得て無人島に漂着する。男は島からの脱出を試みるが、不思議な力で何度も島に引き戻されてしまう。そんな絶望状況の中、男の前にひとりの女が現れ……。

eiga.com

 

 

 


『レッドタートル ある島の物語』予告

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.制作方式

 

 

 

監督は宮﨑駿、、、ではなくオランダ出身のマイケル・デュドク・ドゥ・ビットさんです!!!!

 

 

 

http://p.news.nimg.jp/photo/594/2095594l.jpg

 

宮﨑駿のファンらしいです。

 

2000年に制作した「岸辺のふたり」がアカデミー賞短編アニメーションを受賞し、宮﨑駿も感動。

このアニメを作った人と是非会いたい、会わせてくれ! 

と宮﨑駿側からお願いしたほど笑

 

宮﨑駿が、ここまで他人のアニメ作品を褒めることなんてあったかなぁ、、とにかく僕は初耳でした!!笑

 

 

 


Father and Daughter (岸辺のふたり)

 

映画自体の制作が日本のジブリ、監督のスタジオがイギリスにあるということで、監督はこの作品のために日本に引っ越してまで制作したそうです笑

そうとうな熱の入り用ですなww

 

 

 

ここで注目なのは、監督が原作・脚本に携わっているとのことで、映画のストーリーから演出面まで、多くの範囲をコントロール下におさめていることです。

 

はい、このことからも分かる通り、監督が多くの実験を握り、ジブリが入っていることもあって資金が多く集まる。監督の意のままに作品が作れるわけですな笑

 

つ・ま・り、、、、どんな人にも邪魔されない環境にあるのです!

アート映画が作りやすい環境なんですよ!!!!!!!!

 

 

で、念のため解説をしておくと、この映画は確かに「スタジオジブリ」が制作しているわけですけども、作っているのはマイケル監督率いるフランスの製作会社「ワイルドバンチ」なんですね。

だから、合法的には「ジブリ最新作! やっほーーい!!」とも言えるわけですけども、実際にはフランス制作です笑

 

 

 

 

で、本来ならキャストの紹介もしたいんですが、、、、、、

 

この映画は、アニメ映画にも関わらずキャストがいませんwwww

 

何故なら、セリフが一切ない、無音映画ならぬ無声映画なのですww

 

もちろん、BGMや人のため息、叫び声ぐらいは出ますけども、ストーリーに関係有るようなセリフは一切ないです。かと言って、文字テロップやナレーションがあるわけでもありません。

 

映像だけでストーリーを語らないといけないんですよねww

もう、作りからしてアート映画っぽいっていうwwwww

 

 

 

 

はい、そんなわけで概要はおしまい! 

 

超難解なアート映画をMachinakaはどう見たか?

それでは映画の感想でっす!!!!

 

 

 

 

 

 

4.映画の感想

 

 

 

映画上映直後、みんなこんな顔してましたw

 

http://quiizu.com/wp-content/uploads/2016/05/151158_41.png

 

 

上映81分間、何が起こっていたのか、何を伝えたかったのか、全くわからない様子でした。

 

 

もちろん私も、こんな顔してました。

 

f:id:Machinaka:20160923194212j:plain

 

 

 

いろいろ要素はあるんですけど、それが一本の線にならないというか、、、なんというか、、、、

 

とにかく変なんだよこの映画!!!!笑

 

 

人間の主人公は男・女・その息子の3人だけ

 

あとは亀やカニ等の海の生物だけ

 

それだけで一体どういう話が作れるんだよww

 

 

 

 

はい、まぁこの映画を一言で言いますと、、、

 

 

 

「すんげぇ宮﨑駿好きなアート映画作家がジブリを作ったらこうなった!」

 

 

です。

 

 

宮﨑駿のアニメの特徴は、反体制・反文明で、ヒッピーのような人間がそのまま作風になってると思うんですね。

 

例えば「もののけ姫」だったり「平成狸合戦ぽんぽこ」だったり、

 

 

 

http://xn--japan-9t2hu30gsg3fz4l.com/wp-content/uploads/2013/07/img_181110_2893717_0.jpeg

 

もっとわかやすく言えば、自然保護を訴えるような作風が多いんですね。「地球上で人類が一番偉いみたいな、そんな考えは気に食わねぇ!」って思ってる人なんですよ笑

 

本作も、自然への保護を訴えるような描写が多かったです。人間はあくまでも地球に「生かされている」のだ。と、メッセージが伝わってきましたね。

 

もっと簡単にいえば、「人間より自然を優先させた、エゴイズムでエコイズム映画」とも言えると思うんです。エコ=自然+イズム=主義

 

 

人間死ねっ! とまでは言いませんけど、ここまで人間の優先度を排除した作品って珍しいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

5.作画・演出の観点からの解説

 

 

本作が変なところは、セリフがないことに加えて作画だと思うんですよね。

見た感じほとんど手書きのセル画で、日本以外にも今どきセル画で描く人いるんだぁと驚きました。

で、それはいいんですけど、、、、

 

何と言っても色が薄い薄い!!

 

クレヨンで書いてちゃこんな色だせないよねw あと、夜のシーンはほとんどモノクロで、色を付けてないんですよw 普通、海を青くして星を黄色にするのに、、、そんな強調がない。彩度がまるでない。

新海誠監督が観たら、びっくら仰天ですよこりゃww

 

 

http://cinema.eonet.jp/img/roadshow/1013535_03.jpg

 

 

あと、人間キャラの作画がすっごく適当なんです。ぶっちゃけ、こんな人間なら俺でも書けるよ!?笑

 

 

目が点って、、、、適当すぎてむしろコッチの目がテンになったわwww

 

 

 

f:id:Machinaka:20160923194212j:plain

 

 

 

このことからも分かる通り、人間の作画に関しては、極度に書き込みが少ないんですよ。っていうか、ジブリ映画でこんな単純なキャラ観たことねぇよw モブキャラかよwwって感じなんですけども、この「単純な顔」にこそ意味があると思うんですよねー。

 

「人間の優先度が低い」ことをコンセプトにしていたら、人間の顔なんてどうでもいいと思うんですよ笑 だから、コンセプト通りに作ったらこんな単純な顔になったと笑

 

もちろん、超一級のアニメーターも在籍してると思うんですが、このキャラ作がは「意図的に単純にした」のではないでしょうか?

あまりにキャラ作画に力が入ると、同じく人間である観客が、人間に感情移入してしまう。これを避けたかったのでは? と思ってしまいます。

 

例えば京都アニメーションのように「瞳の作画」が驚異的に美しいと、どうしても可愛い・美しいキャラに感情移入してしまいます。

ただ、この映画は「人間の優先度が低い」映画です。だから、こんな単純なキャラ作画にしたんではないでしょうか?

 

対して、亀やカニなどの描写はかなり細かいです。

 

特に亀の描写

まだら模様や、目つき、口元まで、凄くリアルに書いてます。絶対にコッチのほうが時間かかってますよね?

 

http://i1.wp.com/t2-workshop.com/wp-content/uploads/2016/09/885dd6d2f697277b2b83d43b10c97aad-1.jpg?fit=366%2C231

 

つまり、作画からも「人間より自然(生物)が優先の映画」なんですよ!

 

 

 

 

また、「セリフがない」演出も、人間の武器である「言葉」をあえて奪ったのではないでしょうか?

 

我々観客は人間で、「言葉」が最重要な意思疎通のコミュニケーションになってます。スクリーンに出てくるキャラクターが「言葉」を喋って、観客と意思疎通を図るのが普通ですよね? でも、この映画は意図的に人間のキャラから「言葉」を奪ってるんです。

 

 

 

 

 

 

5.ストーリー視点からの解説

 

 

 

次に、ストーリーからの解説です。

 

 

先ほどの解説で「人間より自然が優先」の作画だといいました。

これはストーリーについても同じことが言えるのです。

 

 

以下、ネタバレ注意です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、では行きますよ。

 

この映画、よくよく考えてみると、、、

 

 

「人間の生と死が、自然によって左右される映画」なんですよ。

 

 

 

まず冒頭シーン。荒波に飲まれる男。

 

普通なら荒波に飲まれて死んでしまう場合もあるのに、奇跡的に無人島にたどり着きました。

実世界なら「奇跡だ!」といえるんですが、これは映画です。創作物です。

つまり、製作者が意図的に男を生かしたのです。

男を生かしたのは、紛れもなく「荒波」、、、つまり「海」、、、つまり「自然」です。

 

そして、エンディングで津波が訪れて、自然も含めた無人島の全てが流されますよね。

奇跡的に男は助かるんですけど、普通ならあんな津波が来たら死傷者は甚大なはずです。

どんな人間でも、あんな津波が来たら助かる可能性はゼロに等しい。普通ならあの津波で「死んでいる」わけです。

男が奇跡的に助かるのは、男が老衰で死ぬ→女が亀になって海に帰る。のシーンを作りたかったから、男を助けたんだと思うんです。

 

 

 

はい、この映画では「人間が自然より下のレベルにある」と言ってきましたが、これを言い換えると、「実世界の食物連鎖の順位を入れ替えた」ことになりますよね。

 

食物連鎖って覚えてますか?笑

 

 

 

http://watashinomori.jp/study/img/i_std_bsc_03-3_2-2.jpg

 

植物を最下位として、鳥を頂点として、食物連鎖が出来上がってくるわけです。人間は、鳥より上の「最上位」の生物として君臨してるわけですな。

 

よく分からないサイトですけども、こういう食物連鎖の図も分かりやすいかも、です笑

 

 

http://blog-imgs-49.fc2.com/d/q/n/dqn01/303aaaa21362.jpg

 

 

で、この映画では食物連鎖で言えば人間は最上位ではないんですよ。

 

 

 

ここで、映画に頻出した生物を列挙しながら、本作における人間の食物連鎖の順番を考えてみましょう。

 

特に以下の3体が頻出してました。

 

・赤い亀or亀

・カニ

・鳥

・魚

 

 

で、特に気になるのが「人間と亀」の関係です。

 

男が赤い亀を殺した後、甲羅が割れて女性が現れますよね? 

あのシーンが一番疑問に感じますよね、、、

 

 

結局あれは何だったのかというと、、

食物連鎖的には、「亀と人間は同じ順位」であり、もっと言えば「亀=人間」にしたのではないでしょうか?

 

 

 

亀は食物連鎖の順位で言えば、実世界では人間より下ですよね?

 

 

 

中国だと「亀料理」なんてものがあるみたいですし笑

 

つまり、人間が亀を食べることはあるけど、亀が人間を食べる、ことはありえないじゃないですか! だから食物連鎖の順番としては、人間>>亀なんです。

 

http://www.geocities.jp/mitsu_china/images/DSC34822.jpg

 

 

ただ、この映画では「亀=人間」となってます。

 

その証拠に、赤い亀から女性が生まれる→亀から生まれた子ども→亀の子どもが人間→亀と人間は同等

ですし、

息子が亀に誘われて無人島を離れるシーンも、

亀と一緒に旅をする→亀と人間は同級生的なつながり→亀と人間は同等

 

になるんだと思います。

 

ちなみに、魚やカニは人間より下位の食物連鎖なのでしょう。人間に親しかったのは、今でも謎ですが笑

 

 

そして、この映画における食物連鎖の最上位は、間違いなく鳥ですよね。

 

よく思い出してみて下さい。何であんなに「鳥が群がっているシーン」を映したのでしょうか?

 

 

http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/d3/1d822f5e30406f3a96d0e51ffa6ec55a.jpg

 

僕がカウントする限りでは、おそらく10回程度は鳥が空を飛ぶシーンが出てきました。

 

 

ハッキリ言って、ストーリーに「鳥」なんて一切関係ないですよね?

 

鳥が喋るわけもないし、鳥が人間に影響をおよぼすわけでもない。

 

何故鳥を出したかというと、「海路と空路の比較」のために出したのではないか、さらに、鳥>>人間の食物連鎖を強調するために描いたのではないかと思うのです。

 

人間がイカダを作って海路で無人島を脱出しようとしますが、赤い亀に邪魔されますよね?

一方、鳥は亀に邪魔されることなく自由に無人島の回りを飛び回っているわけです。人間より自由度が高いわけです。さらに、鳥は津波の影響を受けません。

人間より圧倒的に優位な立場にあるのです。

 

総括すると、本作の生物を使って食物連鎖を作ると、、、

実世界の食物連鎖の順位は、、、

 

人間>鳥>亀>魚>カニ

ですよね?

 

しかし本作では、、、、

鳥>人間=亀>魚=カニ

になってるんです。

 

鳥が最も強い生き物として描かれているのが印象的でしたね

 

 

 

 

 

 

 

6.まとめ

 

 

 

人間の武器は「言葉」が使えることと、「文明=火」が使えることです。

しかし、セリフが無音になることから「言葉」が制限され、無人島に漂流したせいで「文明」が制限され、人間の能力が著しく低下しているのです。

 

そのため、食物連鎖の順位が相対的に低下しているのが、この映画なのです。

 

普通、自然保護を訴える映画なら、「平成狸合戦ぽんぽこ」のように人間が森林を伐採し、あくまでも人間を「生物界で最強=最凶」の生物として描くのが自然だと思うんです。とにかく、人間を悪者にすれば、自然保護のメッセージは相対的に向上するじゃないですか?

 

しかし、この映画は違うんです。

実世界の食物連鎖の順位をシャッフルして、あえて人間を「食物連鎖の強者」から降ろしてるんです。

 

こんな映画みたことありません。

 

自然保護の映画でも、過剰なまでに「自然が優先」の映画です。

 

繰り返しますが、本当に監督の「エゴイズム」と「エコイズム」が押し出されたアート映画だなぁと思いました。

 

 

 

ちなみに、監督は

人間性を含めた自然への深い敬意、そして平和を思う感性と生命の無限さへの畏敬の念を伝えたい

レッドタートル ある島の物語 - Wikipedia

 

と言っています。

 

以上でっす!!!

 

 

 

 

 

 

© 2015,machinaka.hatenablog.com