Machinakaの日記

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アカデミー長編アニメ賞ノミネート! 絵本から飛び出してきたような映像美は評価するが、、?「Song of the sea」批評

こんばんは! Machinakaです!

今回批評する映画はこちら!

「Song of the sea 海のうた / ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」

https://image.eiga.k-img.com/images/review/3247/photo/71c09c2d4af8661d.jpg?1471327180

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はい、萌え萌えな女の子とアザラシちゃんが可愛い!!! と第一印象がすごく良かったのを覚えてます笑

って言っても俺、ロリコンじゃねぇんだけどなぁ、、、、

真面目な話をすると、これが今年のアカデミー賞で長編アニメーション賞にノミネートされたことが大きいです。でも、今年の長編アニメーション賞はしょうがない。なんせ「インサイドヘッド」があったんだから、、、

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本当に、今年のアカデミー賞にノミネートされた人は可哀想に感じる。正直、これを超えるアニメってないだろww

大前提にエンターテイメント性が非常に高い! そしてストーリーと映像、どちらも長けている。。ディズニーが「ズートピア」なら、ピクサーは「インサイドヘッド」でしょ。と言い切れるくらいの大傑作だったから。。。

というわけで、インサイドヘッドというKing of Kingがいる中でアカデミー賞にノミネートされた良作映画を見てまいりましたーーー。

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1.あらすじ


アカデミー賞長編アニメ候補作『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』予告編

アイルランドに伝わる神話をもとに、海ではアザラシ、陸では人間の女性の姿をとる妖精と人間との間に生まれた兄弟の冒険を描き、第87回アカデミー賞で長編アニメーション賞にノミネートされたアイルランド映画。セルキーの母親と人間の父親の間に生まれた幼い兄妹のベンとシアーシャ。ある日、妹のシアーシャがフクロウの魔女に連れ去られてしまい、兄のベンは妹を救うため、魔法世界へと旅立っていく。初長編作「ブレンダンとケルズの秘密」(日本未公開)でもアカデミー賞にノミネートされた経歴を持つトム・ムーア監督の第2作。

eiga.com

アイルランドの監督が作った映画だそう。最近、アイルランド映画で良作って多くないですか!? 

ってか、日本で公開される映画が多いのかな?

まずはアカデミー賞作品賞、主演女優賞、脚色賞にノミネートされた良作、「ブルックリン」

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そして、アイルランド出身のランドスケープデザイナーがロンドンのコンペで活躍した「フラワーショウ!」 こちらは駄作なので見る必要ナッシング!

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そ、そして大傑作!! アイルランド出身の監督ジョンカーニーの半自伝的ミュージック映画「シングストリート」!!!!!

本当にねー、こんな傑作は滅多にないですよww

ヒューマントラストシネマ有楽町では9/9まで上映しているらしいんで、まだ見てない人は見に行け!!! 

ってか、俺と見たい人はコメントくれい!!!(僕は既に2回見たけどww)

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というわけで、アイルランド映画が大好調なのです。

今回のアイルランド映画「ソング・オブ・ザ・シー」は、アイルランド神話を元に作られた映画なんだそう。

新聞・雑誌の切り抜きを見て感じるのは、「アイルランドの古き民話を映画化して、後世へ語り継いだ点に意義がある」と書いてあるのが多かったです。アメリカ国民の4分の1はアイルランド移民がルーツと言われてます。今ではアメリカ人となったアイルランド系移民ですが、故郷の思いはいつになっても変わらない。映画の質はもちろん高いのですが、アメリカ人のルーツもこの映画の評価に関与してるんじゃないかなぁと感じてしまうのでした。。。

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2.監督とキャスト

監督はトム・ムーアさん

https://img.chess443.net/S2010/upload/2016081900002_3.jpg

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アイルランド出身の監督です。

日本のアニメが大好きらしく、特にジブリがお気に入りだそう!!

アイルランドでは、「ポストジブリスタジオ」と評価されている監督らしいです!

cinefil.tokyo

てか、最近感じるんだけど、ジブリ作品って本当に世界的に評価されているんだね。。 僕は3−4年前くらいから映画にハマった(映画の情報を収集し始めた)ので、今になってジブリの凄さを感じるんですよねー。。 リアルタイムに映画館行きたかったなぁー。

ディズニー・ピクサーの親玉であるジョン・ラセターも、「宮崎駿は俺の師匠」と言ってるくらいだし、、、

日本人で声優好きの俺からしたら、単なる頑固ジジイにしか思えないんだが、、、笑

まぁそれは置いといて、、、 ジブリ好きの監督が作った作品は、どんな内容だったのか!? 感想に入りまっす!!!!

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3.映画の感想

抽出画すぎて理解不能!?

今の時代に2Dセル画アニメーションは凄いと思う、凄いけど、、、

ただ、最近「君の名は。」を見たアラサー男子にとってはちょっと物足りなかったなぁ、、、、、

はい、映画を見ている間、「なぜこれがアカデミー賞にノミネートされたのか?」をずっと考えてしまいました。

もちろん、映像は素晴らしく、美しんです。

特に、2Dアニメなのに、ライティングが素晴らしい!!!

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/bd/fb/352964_005.jpg

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https://image.eiga.k-img.com/images/buzz/54787/songofthesea_1.jpg?1450255342

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https://www.stereosound.co.jp/column/cinemaleader/article/2015/01/07/song%20of%20the%20sea%20youtube.jpg

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特に、海の表現ですねー。海から光をあてるシーンが多かったんですが、光の強さ、強調する光の範囲。。どれを取っても美しい!!!

また比較に出して申し訳ないんですが、「君の名は。」の新海誠監督のように、過剰に光を強調させるんじゃなくて、あくまでも自然に光を強調させてるんですけど、、、光の明度や透明感、、、どれを取っても自然な光の魅力を残しながらも、周囲のコントラストを考えて表現しているという、、、非常に気を使った光の表現をしてました。

僕もコンペの仕事で、ライティングを担当することもあるんですけど、やはり「光を強調させたい」と考えた瞬間、むりやり光を当てようとしすぎて、不自然な照明を点けてしまうことがあるんです。

しかし、この監督は違う。あくまでも主人公を光らせるために照明を使っている。これは大変勉強になりましたねー。

あとは、抽象画にこだわる映像表現。

この映画、文字通り2Dアニメにこだわって制作しているんです。どういうことかというと、奥行きや立体感を作ることを放棄して、真正面から写したような作画をしてるんですよ。

例えばこちらの画像。

https://cdn2.natalie.mu/media/eiga/1606/0602/extra/news_xlarge_songofthesea_201606_03.jpghttps://cdn2.natalie.mu/media/eiga/1606/0602/extra/news_xlarge_songofthesea_201606_03.jpg

わかりますか?

光が当たってるのに、ジュースやケーキが真正面から描かれていて、一切の陰影がないんです。普通なら、斜めに移して奥行きを演出するんですけど、それがない。

終始このような映像を見せられるので、すごい違和感がありました。

これは、個人の考察ですけども、「絵本に載っている絵」を意識して作ったのではないでしょうか?

https://tabizine.jp/wp-content/uploads/2015/10/45379-01.jpg

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絵本って、子供を見ることを想定しているので、写実派のリアルな絵よりも、ある程度抽象画された柔らかい絵が好まれるんですね。

この映画の映像も、四角の図形が出ることはほとんどなくて、丸い絵が多いんです。

そして、極力二次元の絵にするために、真正面から映像を撮っているんですね。また、シンメトリックな構図を作ることも多く、まるでウェスアンダーソンの「ファンタスティックMr.FOX」を見てるような、、ちょっと言い過ぎかな笑

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とまぁ、映像は素晴らしかったんです。これは間違いない。。

ただねぇ、、、アラサーのおじさんからすると、ちょっと物足りない。。

この映画に対して何も勉強してなかったのも大きいんです。逆にリテラシーがないと、楽しめない映画だったかも。。。

まずねー、、、ちょっと大人しすぎる! いやね、これ神話が元なんでしょうがないんですけど、、、、あまりにもサービス精神がないよ!! 

この監督は、アイルランドとその文化、アイルランド国民は見えていても、オイラみたいな日本人のにわかアイルランド映画ファンは全く見えてなかったと思うのだ。

その証左に、何も笑わせてくれるシーンがない。そして、驚かせるシーンや怖がらせるシーン、感動シーンもない。感情の起伏がない、非常にフラットな映画だった。

見た劇場が、恵比寿ガーデンシネマだったんですけど、サービスデイということもありおじさんも結構いました。だた、おじさんは全滅だったねぇ、、、笑 途中で爆睡してました笑

いや、私は「映像がスゲェ!」と勉強になると思って、どんな種類の色を使ってるとか、構図をどうしてるとか、コントラストはどれくらいに設定してるとか、色々研究させていただいたので、飽きることはなかったんですけど、、、

サービス精神がないと言いましたが、さらにキツイのはストーリー設定。この映画、実は開始3分くらいで映画のプロット、結末が全て分かってしまうんですよ!!!!!!!

で、僕は映画の冒頭シーンにかなりの集中力を使ってみるんで、強烈に焼きつくんですよ、一個一個のシーンが、、、

そのため、冒頭シーンを全て目に焼き付けていた僕は、その冒頭シーンの伏線回収が陳腐に見えてきて、驚きがまるでなかったんですよねー。。

最後の最後まで、冒頭シーンの因果律を超えることなくって、、、これ、大人向けにサービスしてねぇだろ! ってちょっと怒ってしまったのでした笑

多分僕の怒りって、客観的に見れば変だと思うんですよ。だって、アイルランドの神話を元に、絵本のような絵を映画化してて、間違いなく子供向けなんだから!

だから、子供が見て楽しければそれでいいじゃんって思うかもしれません。

でもね、最近のアニメって凄いんだよ。やっぱりピクサーが台頭してから一気にアニメのグレードって上がったと思うんだけど。

大人が見ても楽しめるアニメってのが普通になってきて、それがアカデミー賞を受賞するようになった今では、この映画ってあまりにも古風なんだよね。だから、大人が楽しむ余地がない。

僕みたいに、フォトショップとかイラストレーターとか地図を作るようなビジュアルの仕事をしていれば、勉強になる部分はある。あるけど、それはエンターテイメントの部分に共感したわけじゃない。あくまでも研究対象として優れていただけ。

あと、長編アニメにするにはあまりにも間延びしてたなぁと感じる。

以上

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