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Machinakaの日記

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首都圏の住宅団地問題を描いた傑作! これが世界の是枝裕和だ!「海よりもまだ深く」批評

日本映画 感涙映画 愛すべき馬鹿たち 年間ベスト級!

こんばんは! Machinakaです。

 

今回批評するのはこちら

 

 

 

 

「海よりもまだ深く」

 

 

 

 

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はい、現在カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門に正式出品されている作品です。

 

 

 

 

1.あらすじ

 


映画『海よりもまだ深く』予告編

 

「海街diary」「そして父になる」の是枝裕和監督が、「歩いても 歩いても」「奇跡」に続いて阿部寛と3度目のタッグを組み、大人になりきれない男と年老いた母を中心に、夢見ていた未来とは違う現在を生きる家族の姿をつづった人間ドラマ。15年前に文学賞を一度受賞したものの、その後は売れず、作家として成功する夢を追い続けている中年男性・良多。現在は生活費のため探偵事務所で働いているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳していた。別れた妻・響子への未練を引きずっている良多は、彼女を「張り込み」して新しい恋人がいることを知りショックを受ける。ある日、団地で一人暮らしをしている母・淑子の家に集まった良多と響子と11歳の息子・真悟は、台風で帰れなくなり、ひと晩を共に過ごすことになる。主人公の母親役を樹木希林が好演し、共演にも真木よう子、小林聡美、リリー・フランキーら豪華な顔ぶれがそろう。

http://eiga.com/movie/83901/

 

 

さて、ほっこりするヒューマンドラマを作らせたら日本トップ、いや、世界に十分過ぎるくらい通用する是枝裕和監督の最新作です。

阿部寛主演で思い出すのは「エヴェレスト」ですけど、あんまり思い出したくない作品ですね笑

 

 

machinaka.hatenablog.com

 

阿部寛のお母さん役に樹木希林、上司にリリー・フランキーと、豪華な俳優に囲まれた、作品の内容はいかに、、、

 

 

 

 

 

2.監督とキャスト

 

監督は是枝裕和さん、前作の海街ダイアリーでは、少女漫画原作にも関わらず、日本アカデミー賞を総ナメしました。映画を作るたびに国際映画祭に出品したり、とにかく作品の質がメチャメチャ高い、非常に信頼できる映画監督です。

 

 

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主演は阿部寛さん、真木よう子さんですが、大事なのは以下のキャストです。

 

樹木希林さん

 

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リリーフランキーさん

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なんと前作海街ダイアリーにも出演しています。かなりお気に入りなんですかね。

 

そして、是枝裕和監督は子役使いが非常に上手い監督として有名ですけど、この映画の子役は「吉澤太陽」くんです。もちろん初見です。

 

 

公式プロフィールの画像は、こんな感じみたいです。いかにもジャニーズ系

おぼっちゃまな感じw

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そしてこれが映画での吉澤くん

 

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いやいや、髪型とか以前に別人になってるでしょww  どんなマジック使ったんだよ、是枝監督ww

 

 

 

 

 

3.映画の感想

 

もうね、上映開始1分で号泣しましたよ泣

 

いや、阿部寛家族とウチの家庭環境が似てて、樹木希林がウチの母ちゃんみたいに思えてしょうがなかったんですよねw 
そのきっかけとなったのが、開始1分の煮物料理なんですよ。実家でもよく出るんでw

 

 

 

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樹木希林さんのお母さん役が本当に良かった、最初から「女優、樹木希林」ではなく、「よくいる団地のおばあさん」の役を完璧に演じていて、あるシーンでなぜか感激してしまいました。ネタバレは避けますけど。

 

再度簡単なあらすじを説明すると、、、

阿部寛は真木よう子と結婚し、子供がいたにも関わらず離婚。子供は阿部寛になついているのだが、奥さんは完全に愛想を尽かしている。それもそのはず、家族よりも自分の夢=小説家の夢が諦めきれずにいるからだ。

樹木希林は団地に住んでいて、阿部寛もそこで育っていた。が、阿部寛は都内の安アパートに住み、真木よう子と子供は別居の上、再婚予定の相手と仲良くしている。樹木希林の夫は死去し、団地で一人暮らし。葬式がひと段落してから、映画は始まる。

 

 

映画のプロットとしては、あまりにも平凡なストーリーです。しかし、これ以上ないほど日常のリアリティを描いている映画といっても過言ではないですよ。

 

こんな平凡な日常を描いても、非常に面白いんです。地球が滅亡するわけでもなく、ゾンビが出るわけでもなく、誰かが死ぬわけでもない。あまりにも普通すぎる生活の一部を切り取っただけなのに、涙が止まらなかったです。

 

 

 

そして、とにかく笑えるシーンが多かった!! 

ヒューマンドラマで日常を描くと笑いが少なくなりがちですけど、この映画は本当に笑えた、抱腹絶倒だったです。

 

 

 

上に述べた通り、ごくごく普通の日常を描いているだけなんですけどね。日常会話でちょっと面白い冗談とか、あるあるとかを描くだけでこんなに面白いんだと感激しました。特に、「日常生活のあるあるネタ」については素晴らしいの一言に尽きます。

 

 

 

また、今回の阿部寛は本当に良かったよ!! あの「エヴェレスト」は一体何だったのか?笑

 

離婚しながらも、未練タラッタラのダメ男を演じる様子は最高! 再婚したいのに、定職というにはあまりにフラフラした探偵業。しかも、本当は小説家になりたい、とのこと。

「家族より夢が大事」妻はそうやって冷たい目線で阿部寛を見る。

 

でも、男っていつまでも夢を追いかけたいし、過去の栄光にすがりたいんだよ、、、、

 

そして、未練タラッタラだから、まだ元嫁のことを「自分の女」だと思っている。そこからの下ネタが本当に最高!! 

いや、分かるよ! 元嫁さんってのもあるけど、相手は真木よう子だぜ!! 誰でも「あれ」したくなるよなwwww

 

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笑って、泣けて、もう最高じゃないですかこの映画!!!

 

 

 

 

 

 

4.樹木希林さん視点で見る、日本の住宅団地の論点

 

かなり前のブログで書いていたと思うんですが、私本業は都市計画の研究なんですよ。なので、樹木希林さんが住む住宅団地に注目せざるを得ませんでした。実際に私も色んな学会に入っていて論文を書いているんですが、近年の論文集で必ず目にするのは、「住宅団地の問題」なんです。

 

映画では、夫が亡くなった後、樹木希林さんが一人暮らししていますけど、このプロットはまさに現代日本の団地問題の論点となるところなんです。

 

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ちなみに、この映画でロケ地となったのは東京都清瀬市の旭ヶ丘団地です。ぼかしも入れずにハッキリと住所が書かれていたので、明らかに監督の意図があるかと。それもそのはず、この団地は是枝監督が実際に住んでいた団地なんです。

 

この旭ヶ丘団地なんですけど、昭和42年(1966年)に完成し、入居が始まったみたいです。

この時期は、まさに東京への人口集中が始まっていた時代でした。東京オリンピックや高度経済成長期も手伝って、仕事が東京に集中していたんですね。

しかし、多くの人が東京に流れてきたものの、人口の受け皿となる住宅地は不足していました。そのため、政府は住宅整備公団(現UR)を使って、住宅団地の急造に取り掛かります。

 

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映画で出ていた清瀬の団地も、URによって建造されました。

仕事は東京に集中していたため、最初は東京の都心や区部に住宅が建てられることが多かったのですが、全ての人口を受けれ入れるには、あまりにも土地が少なすぎました。そのため、東京の多摩部や周辺の千葉・埼玉・神奈川に大量の住宅団地が建てられたのです。

 

昭和に急造された住宅団地は、既存の住宅地に作るのではなく、何も建ってない更地に作る事が多かったんです。もっと言えば、更地ですらない森林を削って、いわゆる「盛り土」をして宅地造成した場所もあります。つまり、都市の中心部より郊外に団地が建てられる事が多かったんです。その結果、東京よりも埼玉・千葉・神奈川の人口が急増して、東京で働き、郊外へ住むという生活スタイルが常態化しました。

これを、専門用語で「ドーナッツ化現象」と言います。

 

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つまり、東京都心は人口が少なく空洞になっていて、郊外は団地が増えて人口が急増してるんです。

 

 

当時の住宅団地は、田舎から出てきた人にとっては憧れの住まい。なんせRCの住宅に住んでいる人自体が少なかったですから。

団地は大人気で、作るたびに完売が続きました。

 

一気に団地を建てて、一気に人が居住してきました。しかも、入居者は20−30代の若い世代ばかりです。

 

しかし、今は2016年。1966年に20歳だった人は70歳に、30歳だった人は80歳になっています。

つまりですね、現在の住宅団地っておばあちゃんやおじいちゃんばかりで、首都圏にありながら田舎と同じレベルで高齢化が進んでいるんですね。

 

それなら子供が一緒に住んで介護すればいいじゃないか! と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、団地で育った子供たちも今ではいい大人です。例えば、実際に団地に住んでいた是枝監督さんは2016年で54歳です。つまり、団地の子供も成長し、それぞれに家庭があるんです。子供がいて学校に通ってたら、介護のために簡単に引っ越しは出来ないんです。

 

また、平均寿命を考えてもわかるんですが、妻より夫が先に亡くなることが多いんですよね。田舎に暮らしてる人なら分かると思うんですが、腰の曲がったおばあちゃんが台車引いて歩いている姿、見た事ありませんか?

 

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 これはまさしく、映画の中の樹木希林ですよ。

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阿部寛さんにつかまって歩いている姿、まさに日本の住宅団地の問題の象徴ですよ。

 

劇中に、阿部寛が実家に帰るシーンで、偶然同級生と会って喋るシーンがありますよね。そこで「孤独死」について触れるシーンがあると思いますね。

「発見されるまで3週間掛かったんだって」ってセリフ。

 

また、樹木希林も「私が死んだらね」と、孤独死をほのめかすシーンもあります。

 

これは、実際に起こっている孤独死を意識した、強烈なメッセージなんです。

 

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これを解決しようとして、産官学が一体となって問題解決に取り組んでますが、解決の糸口はありません。

 

一応説明しておきますけど、国は2006年の都市計画法改正などによって、「コンパクトシティ」を今後の都市づくりの方針にしています。つまり、郊外まで広げてしまった都市をコンパクトにしよう、という発想です。

また、民間は住宅団地をリノベーションして、若者世代に住んでもらおうとしています。

そして大学は、大学生を団地に住まわせて高齢者との交流をしています。

 

しかし抜本的な解決にはなっておらず、そうこうしている内に、また今日も孤独死の危機が団地に襲いかかっているのです。

 

書きたいことはまだまだありますけども、それはまた別の記事にしたいと思います!!!

 

以上です!

 

 

 

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