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大満足のディストピアSF演劇映画 神木くんはやっぱりアツい奴! 「太陽」批評

こんばんは! Machinakaです。

 

今回批評する映画はこちら

「太陽」

 

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http://eiga.com/movie/81836/gallery/2/

 

 

はい、神木隆之介くん、門脇麦さんをメインキャストに、我らがタマフルの映画「タマフルザムービー」の監督を務めた入江悠監督作品です!!

 

 

 

 

1. あらすじ

 

 

読売演劇大賞ほか多くの演劇賞を受賞している劇作家・演出家の前川知大率いる劇団「イキウメ」の同名舞台を、「SR サイタマノラッパー」シリーズなどを手がけた入江悠監督のメガホン、神木隆之介と門脇麦の主演により映画化。21世紀初頭、ウイルスによる人口激減から、なんとか生き残った人類は、心身ともに進化しながらも太陽の光に弱くなり夜しか生きられなくなった新人類「ノクス」と、ノクスに管理されながら貧しく生きる旧人類「キュリオ」という2つの階層に分かれて生活していた。ある日、村でノクスの駐在員をキュリオの男が惨殺する事件が起こった。この事件により、ノクスから経済制裁を受け、キュリオはますます貧しくなっていった。キュリオの貧しい村に生まれ、ノクス社会への憧れを隠さずに鬱屈した毎日を送る鉄彦役を神木が、鉄彦の幼なじみで、ノクスそのものへの反感を糧に村の復興を前向きに考える結役を門脇が、それぞれ演じている。 

 http://eiga.com/movie/81836/

 

 

映像をご覧いただくと分かりますけども、現実にありそうでない、何か違和感があると思います。

 

神木くんの服装が何でこんなにボロボロなの? こんな田舎を舞台に何するの?

ってか太陽ってどんな意味だよ、、、

謎が深まるばかりです。これから解説していきますよー。

 

 

 

 

2.原作は戯曲

 

原作は、劇団「イキウメ」が2011年に舞台化した、「太陽」です。

 

劇作家の前川知大さんが作った物語で、原作には基本的に忠実に作っています。

  

映画でも演劇の特徴が根強く残っていて、基本的にワンカット長回しの映像を使ったり、引きの画を使って全体を見せる撮影が多いです。実際に演劇を見ているような気持ちになるんですよね。

 

あと、なんたって叫ぶ描写が多い。神木くんがここまでワーワー叫ぶのは、これが初めてかも。普通の映画の演技とは全く異なります。

 

ジャンル的にはSF、、ディストピアSFになるかと思いますが、仮想現実を想起させるような過度な演出はほとんどなく、CGもほとんどありません。特撮であったり、衣装で見せているんです。

 

なんたって、俳優の演技が試されるのが演劇。今回キャスティングされた俳優さんは、客寄せ目的ではないことが分かるでしょう。

 

 

 

3.映画の感想

 

 

ディストピアSFなんだけど、こんなに面白いんだ!!

 

 

映画のメッセージ性を考えても、非常に重たい話になるはずなのに、鑑賞後の感情はとってもポジティブになりました!

 

エンタメ作品ではないので、万人ウケするかどうかは分かりません。ただ、ウケはしなくとも「心に残った」映画になると思います。

 

そのくらい、俳優さんの演技が素晴らしかったです! すぐに映画の世界観に引き込まれていきましたー! 大満足!!

 

特に、神木くんが光ってましたねー。話が重くなりすぎると、必ず神木くんが出てきて、演劇のようなオーバーアクト&バカ演技で、ついつい笑ってしまいました。

緊張と緩和のバランスがとっても良かったですねー。

 

 

 

 

 

 

 

4.「太陽」に込められたメッセージ

 

 

この映画のSF設定を見れば分かるんですが、ウイルスによって世界の人口が激減してしまい、人類はウイルスに抗体がある「ノクス」と抗体を持たない旧式の人間「キュリオ」に二分してしまい、ウイルスのせいでノクスとキュリオは隔離されて生活していた。

 

ノクスになるためには手術を受ける必要があり、ノクスになると「太陽」の日射を浴びれなくなる。ドラキュラと同じ特徴だと思えばよいです。キュリオは、現代の我々と同じですから、太陽の直射日光を受けても平気なんです。

 

つまり、「太陽」によって人類が二つに分かれてしまうんですよね。そして、この二つに人間を分けるということが、この映画にとっては重要なんです。

 

 

 

 

 

5.村八分の閉塞感を描いた

 

 

ノクスとキュリオの二つに分かれ、生活様式も全く異なっています。

 

ノクスは、現代の我々を超えた非常に高度な文明社会を築いています。彼らの世界ではお酒もタバコも、暴力も禁止。ノクスは全員、良識のある人間として描いています。

 

キュリオはノクスの優雅な生活に憧れ、妬み、恨みます。

 

冒頭のシーンでも明らかですけど、キュリオの村に住む若者がノクスを殺してしまうことで、キュリオは激怒して経済制裁を加えますよね。

 

これって完全に村八分の理屈なんじゃないかなぁと思いました。

 

キュリオの世界が、昭和30年代みたいなど田舎の村であること、人口が40人程度であることを考えると、キュリオは非常に閉塞感のある場所で生活を強いられていることになります。

 

 

キュリオ側の神木くん。顔も服もボロボロ。特に髪の毛のボサボサ感がねぇ。なんたって40人の村に住んでるわけですから、完全に文明社会から脱落してるんです。経済制裁を受けたせいで、村の外との交易もできず、生きるために農業をするのが主な産業。

 

https://pbs.twimg.com/media/CgPvQ9sUsAQhVNh.jpg

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こちらはノクス側の高橋和也さん。 綺麗なシャツに白衣を着て、背景も現代的ですよね。

http://eiga-taiyo.jp/images/photo_cast7.jpg

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つまり、キュリオ:地方VSノクス:都会 とも読み取ることができます。

 

特に、キュリオの暮らす村の閉塞感が非常に感じられました。村は高齢者ばかりで保守的。村を元気にしたいが、アイデアひとつ出てこない。何か行動しようもんなら、皆から反発に遭ってしまう。

 

絶対にこんな村住みたくねぇーー!! ってか田舎住みたくねぇーー! と思ってしまいました。これを東京で見るのと、田舎で見るのと、ずいぶん印象が違うと思いました。

 

村八分を扱った映画なんて、そうそう見れるものじゃないですから、是非とも一人でも多くの方に足を運んで頂けたらなと思います。

 

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