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Machinakaの日記

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映画館で初めて起きたある体験 アカデミー賞最有力候補 「サウルの息子 / SAUL FIA」批評

ハンガリー映画 絶賛回 実話ベース

こんばんは! Machinakaです。

 

今回批評するのはこちらの映画!!

 

 

 

「サウルの息子 / SAUL FIA」

 

 

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はい。本年度アカデミー賞の外国語映画賞にて、ノミネートされた映画です。

また、すでに本年度のゴールデングローブ賞で、最優秀外国語映画賞を獲りました。アカデミー賞でも最有力です。

 

ホロコーストの内実を、ナチスに占領されていたハンガリーの側から暴いた作品です。

 

 


サウルの息子 - 映画予告編[悲劇の部隊ゾンダーコマンド]

 

 

滅多にあらすじは書きませんけど、今回ばかりは書きます。

 

ナチスのユダヤ人強制収容所アウシュビッツにて、ハンガリー系ユダヤ人として連れてこられた男、サウル。

 

サウルはゾーンコマンダーと言われる、ユダヤ人を殺す仕事を任されていた。

 

ある日、ガス室を清掃していると、サウルの息子と思われる少年がうずくまっていた。彼はすでに死亡していた。通常なら焼却炉で燃やされるのだが、サウルはユダヤ人の埋葬方法で息子を弔ってやりたいと考え、アウシュビッツを奔走する。

 

 

 

 

  • 1.監督について

 

監督は、ネメシュ・ラースローさん。現在38歳です。

 

生まれはハンガリーのブダペスト。家族もハンガリー生まれです。

インタビューで答えていましたが、彼の家族は実際にホロコーストの被害にあったそうです。

 

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今回の映画を撮影しようと思ったきっかけは、実際にアウシュビッツのゾーンコマンダーとして働いていたユダヤ人の手記をまとめた書籍に出会ったことがきっかけだそう。また、アウシュビッツの写真を見たことも大きく影響している

 

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ネットではガス室がなかったとか、捏造とか言っている人もいますが、この写真が物語っていますよね。 

 

  • 2.アウシュビッツの実態とゾーンコマンドーという仕事

 

ホロコーストの代表的事例ですと、真っ先にアウシュビッツ収容所のガス室を思い浮かべると思います。

 

私はてっきり、ナチス軍が直接ユダヤ人を殺すものだと思っていました。

しかし、軍服の男が来て「服を脱げ!」と言われてもユダヤ人は激しく抵抗しますよね。

 

そこで特定のユダヤ人に、ゾーンコマンドーという仕事を与えました。

それはいわば、ユダヤ人の殺人幇助。

 

ユダヤ語で優しく話しかけ、服を脱がせ、シャワーを浴びるという名目でガス室へ連れ込む。 あとはナチス軍がスイッチを押す。

 

また、殺されたユダヤ人が脱いだ服を掃除しながら、金目のものを集めてナチス軍に渡す。

 

多くの映画サイトではゾンダーコマンドは殺人処理って書いてあるんですが、彼らは紛れもなく殺人に関わっています。それに金品を盗み、同じユダヤ人を騙す。

 

こんな辛いことってあるでしょうか。 また、ここまでの屈辱を与えられても、ゾンダーコマンドー達はいずれ殺されてしまいます。

 

これには驚きました。映画を見るまで知らなかったんです。てっきりナチスが全てやっていたんだろうと。

しかし真実は違うのです。歴史の勉強をしてもここまでは勉強しないと思います。でもこれって知っておかなければいけないですよね。人間として。

 

 

  • 3. 独特の撮影方法とぼかし

 

本作は、サウルの息子を助けるための2日間を描いています。

 

カメラはずっと、主人公のサウルを映したまま、1カットの長回しで取られていることが多いです。

 

「バードマン」のような全て1カットの撮影ではありませんが、極力カットが変わらないように配慮しています。カットが変わらないまま、サウルが働くアウシュビッツを写しているので、まるでサウルが主人公のロールプレイングを見ているみたいな感覚になります。没入感が半端ないんです。

 

しかも手持ちカメラで撮られているため、手ぶれが激しいシークエンスばかりです。

さらに、映画は非常にぼかしがきつく設定されています。アウシュビッツの内部を多く写していますから、どんな部屋でも死体が転がっているのです。その死体を直接写すことを避けているんです。

 

普通の戦争映画なら、グロデスクな描写はハッキリ写しますよね。強烈な映像であるほど、人を惹きつけることもあるからです。

戦争映画には切っても切り離せないグロデスク表現ですが、監督は極力それを控えるようにしています。

 

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その結果、この映画は全年齢で鑑賞できるようになっています。

 

映倫は確かな審美眼を持っていましたね。 しかし、実際はぼかしがないところで、解体シーンがそのまま映されていることもあります。

 

直接的な暴力表現は少なく、非常に淡々と物語を描いているのです。

 

「全年齢指定のホロコースト映画だから、そんなに怖くないんじゃないの!?」

 

そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、この映画は間違いなく恐ろしい、おぞましい映画でした。

 

それは私が映画館で初めてある事を体験したからです。

 

 

 

 

 

  • 4.鑑賞中に自分の死を考え続けてしまった

 

先ほど述べた通り、ワンカットの映像で淡々と描いていくので、自分がアウシュビッツにいるような感覚に陥ります。そして、ひたすらサウルを中心にカメラが動いていくので、まるで自分がサウルに乗り移ったような、そんな感覚さえしました。

 

ちょうど映画中盤ですかね、もう何百、何千人ものユダヤ人の虐殺をスクリーンで見ていた私は、突然映画以外のことを考えてしまいました。

 

 

それは自分の死について。

「自分はどういう殺され方で、死んだらどこへ行くんだろう。」

そんな問いをひたすら続けてしまいました。

 

サウルはゾーンコマンドーですが、いずれ殺される運命にあります。ずっと彼を映画で見てきて、「彼が死んだら、この映画はどうなるのだろう?」とふと思ったとき、この問いが頭に降りかかってきたのです。

 

こんな感想、世界中でも私だけかもしれませんけど、それくらい映画に没入していたんだと思います。

 

どんなホラー映画を見ても笑ってしまう私が、これだけは笑えませんでした。サウルに起きていることが、まるで自分に起きているかのように考えてしまったんです。

 

 

 

  • 5.是非とも映画館で、今見るべき映画

サウルの息子は映像の暴力表現が少ない分、音響の暴力が凄まじいです。

始まって3分くらいですかね。ガス室にユダヤ人が閉じ込められるシーンがあります。

 

ガス室内で叫ばれるユダヤ人の怒号。

ドアを叩く音。

しかし画面はドアの外にいるサウルなんですよ!!

 

 

その音響があまりにも恐ろしくて、耳を塞いでしまいました。

 

最初から心を持ってかれた映画でした。

 

 

怖いこと書いてきましたけど、初めての映画体験で、とても貴重な時間を過ごさせていただきました。

 

アカデミー賞受賞をお祈りしています。

 

 

オススメです!!!!

 

 

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