- まえがき
- 初めてのTIFF
- 実写撮影の限界に挑戦!! 恐るべきリアリティ志向
- 製作期間なんと14年!! その理由とは・・・・
- 映画の舞台となった1990年代のエベレストとは?
- 映画の考察
- 人類のほぼ全員が未体験
まえがき
本ブログに御アクセス頂きありがとうございます。
岡田准一さん、阿部寛さん主演の「エベレスト 神々の山嶺」についての記事はこちらになります。
www.machinaka-movie-review.com
今回批評するのはこの映画。
「エベレスト3D」
はい、世界最高到達地点であるエベレストの登山を題材にした本作。映画館に行く人は何回か予告で見たと思います。
初めてのTIFF
あれ、ちょっと待て待て。 日本での公開日は11月6日となってるよ!!
映画も観ずに批評するようになったのか、このブログは!!!
いえいえ、私は確かにこの目で観てまいりました。そう、
東京国際映画祭で!!!
メイン会場となっているのは六本木ヒルズなんですけども、わたくしは新宿バルト9で鑑賞してまいりました。
そういえば以前の映画館紹介記事にてターミナル駅にある大型シネコンなんて行くな!!なんて否定していましたけども、、 ま、今回は水に流してください笑。無理をしてでも観るべき映画があるのです。
www.machinaka-movie-review.com
さて、本日が日本での最速上映だったわけですけども、会場はこんな感じでしたーー。
会場は中規模スクリーンで、位置は中心の列の右の方でした。写真は自分の座席から撮影したので、まぁまぁの席でしょう。
なんせ、上映の前日に予約したんですから笑
こちらが上映の直前。司会の方(おそらくハーフの人?)が登壇され、「これから舞台挨拶を行います」 とのこと。
えっ!?
そんなの知らなかったんだけど。。。
動揺を隠せないまま、監督のバルタザール・コルマウクルさんと、今回唯一の日本人俳優として選ばれた森尚子さんが舞台に登場しました!!
もちろん、一般の観客の撮影はNGのお約束ですので、その時の写真はありません。あしからず。。。。
お二人とも日本ではあまり知られていないので、観客もあまり興奮していない様子。てか、日本人はおとなしいなーーーとつくづく感じる。
以下、お二人の撮影こぼれ話を交えながら、本作の魅力に迫ります。
実写撮影の限界に挑戦!! 恐るべきリアリティ志向
本作はエベレスト登山家があつまるネパールのカトマンズから始まります。
雑多な街並みを背にエベレストに向かう登山家たち。
それもつかの間、舞台はすぐにエベレストに。
本作の特徴(恐ろしいところ)は、できるだけCGに頼らずに実際にエベレストに出向き、俳優とともに撮影を行っている点。
監督曰く、
実際にエベレストでカメラを持って撮影した。機材が壊れる限界まで実写で撮った。でもカメラより人間の方が丈夫だったよ
それはCGでは絶対にできないリアリティを追求した作品にしたかったからだそう。そこまでリアリティにこだわったのは、また後で書きます。
その撮影は、実際に効果テキメンでした。
今回の主演を務めた、ジェイソンクラークを初めとした俳優達の演技。
実際にエベレストで撮っているからこそ、酸素が薄くなっている時の会話や息遣い。遭難したときの絶望の表情。無表情という迫真の演技。そして、雪が顔にこびり付き、血行が悪化。表情が次第に硬くなっていく様子など、いい意味で、とても恐ろしく感じました。
もちろん、雪山の描写も素晴らしい。今回はIMAX3Dでの上映を想定して、画作りを行っています。
・クレバス(氷と氷の間に隙間ができ、谷底のようになっている地形)の奥行き感&落ちたらどうなるんだろう、、、とハラハラ。
・エベレスト本山に向かう際に渡るドゥード・コシの吊り橋にて、あーこれ落ちたら絶対に死ぬなーと妄想してしまう。
限りなく実写で撮っているからこそ、エベレストの恐ろしさが伝わる内容となってます。
日本ですと、エベレストに登頂成功し、無事に帰ってこれた人のみに焦点をあて、綺麗ごとのように報道していますけども、「エベレストって超怖いんだぞ!!!」と強いメッセージをこの映画から感じました。
製作期間なんと14年!! その理由とは・・・・
この映画ですけども、構想から製作開始まで、なんと14年もの歳月がかかっています。そりゃあエベレストで極限状態の中撮影に挑んだり、セットを自分達で作らなきゃいけないし、大変なのはわかります。でも、なぜ14年も時間がかかったのか。。。
監督曰く
それはハリウッドがなかなかお金をくれなかったからだよ。この映画には特殊能力を持ったヒーローもいないし、
なんせ結末が「ハッピーエンディングじゃないからね」
注意!!「 」の中は空白ではなく白文字にしてあります。
はい、ここでまさかのネタバレきましたーーー!!!!
おい監督、みんなこの映画ができた背景とか知ってるわけじゃねぇんだぜ! そして通訳さん、ここまで正直に訳しちゃっていいの!?
上映前にそんなことを言われ、唖然とする観客一同。もはや笑うしかありません。
ネタバレなんて表現を使っていますけど、実は本作は脚本家のオリジナルストーリーではなく、実際にエベレストであった出来事を実写化したものなんです。
実写化、というか、恐ろしく忠実に再現しています。ドキュメンタリーを劇映画化したような、そんなイメージです。
だから映画の結末は、その出来事の詳細を調べればすぐにわかってしまいます。もちろん、登場人物は実際にエベレストに登頂した人の名前をそのまま使っています。
ですが念のため、上述した監督のインタビューについては白文字にして一見わからないようにしています。 しかし、コピペして貼り付けたりドラッグすると結末がわかってしまいますので、ご注意を!!!!
とはいえ、ハリウッドがお金を出したがらない結末ということを考えれば、映画ファンには分かるでしょう。
私はろくに勉強せずに本作を鑑賞しましたけど、鑑賞後には「勉強してから観たかったなー」と感じていました。エベレストの登山は単独などありえず、10人程度のパーティーを組んで登山に挑戦しています。
そのため、10人すべての生い立ちやエベレストに登った動機などが詳細に描けないため、ある程度登山家達の前情報を把握しておかないと感情移入ができない作りになっています。
本ブログでは、調べてから観るか、観てから調べるかを読者様の各々の判断に任せたいと思いますので、直接ネタバレするような記述は書かないようにします。ただ、最低限の情報は書いておかないと映画がわかりませんから、映画の公式サイトに載っている情報程度に留めておきます。
映画の舞台となった1990年代のエベレストとは?
この映画は、1996年の5月にエベレストで起こった実際の遭難事故を描いています。
この1996年という年代が本作では重要なテーマになります。エベレストに人類が世界で初めて登頂したのは1953年。エドモンド・ヒラリーの登山隊が登頂成功してから40年以上経った時代です。
90年代初頭から、エベレストは商業登山が流行していました。商業登山とは、プロのガイドがアマチュア登山家を引き連れて登山すること。
いわば「エベレストに登ってみよう! ツアーです」
そのツアー代金はなんと約6万ドル!! 700万円を超えるお金を払ってエベレスト登山に挑戦しているのです。
これを主催し、自らが隊長となって登山隊を率いたのが、本作の主役であるロブ・ホール。
この遭難事故について、一番わかりやすいと感じたのがロブホールさんのウィキペディアです。
「ロブ・ホール - Wikipedia」で検索すると事故の詳細が分かりますのでご注意を!! 自己責任でお願いします!!
映画の考察
いろいろ説明してきましたけども、、、この映画の感想を一言で。。。
「エベレストのイメージをぶち壊されました(いい意味で)!!!」
エベレストと言えば、、、「アルピニスト 野口健」さん、「登山家 三浦雄一郎
」さんなどが日本でフィーチャされていますよね。
彼らはいわばプロ登山家。山の成功者です。もちろん多大な苦労と入念な準備、多くの犠牲が付きまといながらも、登山を成功させた実力者であることに疑いの余地はありません。
しかし、エベレストは彼らのような成功者だけが登山するわけではありません。
本作は実際に登山して撮影することにより、「エベレストのデスゾーンという、地獄とも思える絶望的状況」を包み隠さず描写し、「人生を懸けて登山に挑み、悔しくも散っていった人達」にスポットを当てています。
映画はエンターテイメントの側面が非常に強い映像作品ではありますけど、本作は実際に起こった事故を十分にリサーチした上で忠実に表現しているため、ジャーナリズム性が高い内容になっています。
簡単に言えば、とっても真面目に映画を作りすぎたのです。
こりゃあ、ハリウッドもお金出しづらいわな笑
グーグルで「エベレスト」と検索すれば、 他のキーワードとして「エベレスト 遺体 写真」が出てきます!!
ネットユーザーで怖いもの知らずの方は、何回か写真を見たことがあるでしょうね。かなりショッキングな画像もあるので、本ブログでは貼りませんけど。
でもそんな怖いもの知らずのみなさんでもこの映画をみたら正直驚くことでしょう。
なぜならば、この映画では元気ハツラツな状態の人間が、次第に衰えていき、最後に遺体となってしまう過程を詳細に描いているからです。
こんな映像、観たことありますか? 絶対ないですよね!!
怖いことばかり書いていますが、実際の映像はそこまでグロデスクではありません。年齢制限はありませんし、暴力的なシーンもないです。
人類のほぼ全員が未体験
まだ日本でどこでも公開されていないということで、映画の内容を詳細に書いてみました。いや、書きすぎてしまいました。
いろいろ書きましたけど、エベレストの恐ろしさが嫌というほどわかる、そしてそれに魅せられて登山する人たちの絶望を見せつけられます。
エベレストに登山経験のある方以外には、すべての映像が未体験でしょう。つまり、全世界の99.999%くらいは全く新しい体験ができるのです。
また、私はバルト9の3Dで鑑賞したため、IMAX3Dでの上映はまだ未体験です。
ハッキリ言って、普通の3DとIMAXの3Dでは臨場感が段違いです。
そのため、私はIMAXでもう一度本作を観る予定でいます。IMAXで観たらどんな体験ができるんだろうと、今からワクワクしています。
11月6日、IMAXで会いましょう!!! おススメです!!!!!
こちらもオススメ! 今年イチオシ映画のご紹介です。
www.machinaka-movie-review.com